言葉と視覚化

兼好法師の書いた徒然草の一幕である「花は盛りに」
花は満開よりも蕾や散りざまの方が美しいという主題を、映像の力を用いてより強く表現した。
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言葉と視覚化_本文

徒然草はおよそ700年も昔に執筆された作品ながら、 作者の兼好法師の考えは現代にも通じ得るものであると感じている。古文特有の何某かに感動して歌を詠んでといったものではなく、かなり素朴で、それでいて人生に役立つ教訓のような内容だ。

 

言葉と視覚化_タイトル画面

兼好法師が文章中で表現を変えながら何度も主張している「不完全な状態の方が、むしろ完全なものよりも美しい」という内容。これを視覚化するために、文章を水面に浮かべて散っていく様子を撮影し編集した。初めは文字として読めていたものが時間の経過とともに読めなくなる様子で、完全から不完全へ変化していく美しさを表現した。

 

言葉と視覚化_書体選定

使用した書体_筑紫明朝
他の明朝体と比べて横画の傾きが2°ほどきつく、手書き文字に少し近い。
活字の綺麗な佇まいと、手書きのニュアンスの両方が欲しかったのでこのフォントを選んだ。

 

言葉と視覚化_タイトルキャプチャ

タイトル画面のキャプチャ
文字が水面に散り、徐々に読めなくなっていく様子を撮影している

 

言葉と視覚化_展示の様子

画面を4つに分割し、床に置いて再生した。
立つ位置によって映像の見え方や音の聞こえ方が変わり、空間も作品の一部として鑑賞することができる。